個人再生に必要な書類とは?手続きの際のリスク
個人再生は、債務整理の中でも特に複雑な手続きです。
申立時に必要な書類も多く、また申立てを行ったあとにも決まった期限内に提出しなければならない書類があるなど、個人で対応するには難しいため、弁護士に依頼することをおすすめします。
この記事では、「個人再生に必要な書類とは?手続きの際のリスク」について解説していきます。
どうしても自分で申立てを行いたいという方や、弁護士に依頼する予定だけど何が必要か知りたいという方は参考になさってください。
個人再生申立に必要な書類
個人再生申立に必要な書類は、裁判所によって多少異なる場合があります。
申立書の書式等も裁判所によって異なりますので、詳細は裁判所に問い合わせるとよいでしょう。
この記事では、主に東京地方裁判所で必要になる書類について紹介します。
①申立書
まずは申立書です。
申立書には、氏名や生年月日などの基本的な情報と、申立ての趣旨(小規模個人再生か給与所得者等再生かどちらで申立てを行うのかも明記します)、申立ての理由等も記載します。
申立書は各裁判所によって書式が異なりますので注意してください。
②収入一覧及び主要財産一覧
書類の名前のとおり、収入の一覧と主要財産の一覧を書いたものを提出します。
③債権者一覧表
債権者をすべて漏れのないように記入します。
迷惑をかけたくないからなどとあえて債権者一覧表に載せない債権者がいた場合などには、個人再生自体が失敗してしまう可能性があります。
うっかり漏れてしまった場合でも、返済しなければならない額などに影響する場合があるため、しっかり確認して記入しましょう。
④住民票
発行から3か月以内、または6か月以内のものなど、裁判所によって異なる場合があります。
世帯全員が省略されていないものを取得しましょう。コピーではなく原本を提出します。
⑤弁護士に依頼する場合には、弁護士への委任状
申立てを弁護士に依頼する場合には、弁護士への委任状も提出します。
申立てと同時にまたは申立後速やかに提出しなければならない書類
⑥財産目録
②で記載の主要財産一覧よりも詳細に財産について報告する書類です。
こちらで報告する財産については、すべてその価額を明らかにする書面の提出も必要になります。
後述する、【その他提出が必要な書類】の中で例を紹介します。
⑦陳述書(弁護士が申立てを行う場合報告書)
これまでの仕事の経歴や家族の構成、個人再生申立に至った経緯などを記載する書面です。
⑧清算価値算出シート
個人再生では、債務総額から定められている最低弁済基準額、清算価値の金額、給与所得者等再生の場合には最低弁済基準額、清算価値の金額、2年分の可処分所得の中から最も大きい金額を弁済していくことになります。
この書面で清算価値の金額を計算します。
⑨収入の額を明らかにする書面
給与明細・賞与明細・源泉徴収票・確定申告書または課税証明書や非課税証明書などです。
給与所得者等再生の場合には、可処分所得額算出シートも提出します。
⑩家計全体の状況
家計の収支を記載したものです。これも裁判所によって書式が定められています。
⑪住宅ローン特則を利用する場合、住宅及びその敷地の登記事項証明書
発行から3か月以内のもので、共同担保目録付きのものを取得しましょう。
その他提出が必要な書類
- 保有するすべての預貯金口座の通帳過去2年分
合算記帳がある場合は、その箇所の明細を銀行に申請して取得します。 - 公的扶助の受給資格証
- 退職金に関する規定及び算出過程がわかる計算書、または雇用主の記名押印のある退職金証明書
- 加入しているすべての保険の保険証券
解約返戻金がある場合は解約した場合の返戻金の試算書、ない場合にはそれが証明できる書類 - 有価証券・ゴルフ会員権に関する資料、時価がわかる書面
- 自動車検査証または登録事項証明書の写し及び査定書
- 不動産の登記簿及び査定書または賃貸借契約書など
その他、申立てをする本人の財産や収入の状況により別途提出を求められた書類
申立後に提出する書類
申立てを行った後にも提出しなければならない書類があります。
特に再生計画案は期限までに提出しなければ、再生手続廃止の決定がされてしまいます。
- 債権認否一覧表
- 異議申述書
- 再生計画案
- その他、裁判所や個人再生委員から提出を求められた資料や書類
自分で個人再生を行う場合の手続きの際のリスク
個人再生は申立てさえ行えば借金の減額が認められる手続きではありません。
申立てを行っても、書類に不備や不正があったり、定められた期限までに書面を提出しないなどの事情があれば、個人再生の手続き自体が失敗してしまう可能性も十分にあります。
特に先述した再生計画案の提出を忘れてしまうと再生手続廃止決定が出てしまいます。
また、再生計画案は法律の要件を満たす必要があり、債権者の同意も必要です。
裁判所に返済計画通りの返済が可能だと認められなければ、不認可になる場合もあります。
法律を正確に理解し、準備しなければ個人再生を自分で成功させることは難しいでしょう。
まとめ
個人再生は、債務整理の中でも特に複雑な手続きです。
必要になる書類は、申立てを行う人の借金の状況、収入や財産によって異なります。
また、裁判所によっても多少異なる場合があります。
個人再生は、借金を大幅に減額できる手続きです。
今後の生活再建のためにも弁護士に相談することをおすすめします。
個別の事情については弁護士に相談するとよいでしょう。