過払金請求の交渉や入金までの期間とは?
過払金の請求をしても、請求したらすぐにお金が返ってくるわけではありません。
いついつまでにお金が必要だから過払金を請求してそれで支払おうと考えている人は、注意が必要です。
どのくらいの期間がかかるかは、弁護士に依頼するか自分で対応するか、どの貸金業者に請求するのか、争点があるかなどによって異なってきます。
この記事では、過払金請求の交渉や入金までの期間とは?について、過払金請求の流れに沿って解説していきます。
過払金請求の流れ
過払金を請求するにはどのような流れになるのでしょうか。
流れに沿って、そのステップにかかる期間をご紹介します。
①取引履歴の開示請求
まずは取引履歴を開示してもらうことから始まります。
取引履歴の形式は貸金業者によって異なりますが、取引をした日付・金額・利率などが書いてあります。
貸金業者によって開示にかかる期間は異なりますが、早い会社は1週間程度、遅い会社では1か月~3か月程度かかることもあります。
また、弁護士や司法書士に依頼をせず個人で請求している場合には、開示までの期間が長くなることがあるようです。
②過払金の計算
取引履歴から過払金がいくら発生するか利息制限法に基づいて引き直し計算を行います。
取引期間が長く、取引の回数が多いと計算をするために入力する箇所が増えるため、どのくらいの時間がかかるかは取引の内容によって異なります。
③過払金の請求
計算が終わり過払金の額がわかれば、貸金業者に対して請求します。
請求したらすぐに支払ってくれるという貸金業者はほぼないと考えてよいでしょう。
ここから貸金業者との交渉が始まります。争点の有無によっても交渉にかかる期間は異なります。
貸金業者によっても異なりますが、概ね1か月~3か月程度かかることが多いです。
④訴訟を提起する
交渉でまとまらなければ裁判で請求します。
貸金業者としてはなるべく返還する過払金は少額に抑えたいので、訴訟提起前の和解交渉ではあまり満足のいく金額を提示することはありません。
訴訟提起自体は弁護士であればさほど期間を要するものではありません。
ただし訴状の作成を自分でやる場合にはある程度の期間が必要になる可能性があります。
裁判になると、1か月に1回程度期日が開かれ、こちらが主張をする回、相手が主張する回、と交互に主張・反論をするためどうしても期間が長くかかってしまいます。
過払金の返還訴訟ではだいたい6か月~12か月程度かかると考えておいた方がよいでしょう。
⑤裁判の途中で和解交渉をする
裁判になると長引いてしまうことは前述したとおりです。
そのため、裁判は裁判で続いているけれども、同時に当事者同士で和解交渉をするケースが多くあります。
裁判で判決を取った場合にどうなりそうか、というところを踏まえて交渉し、納得のいく金額や返済時期での和解の提案があれば、その条件で和解することが可能です。
提訴することによって、提訴前の交渉よりもよい条件を提示してくれる業者や、提訴したら比較的早く和解ができる業者もあります。
⑥過払金の返還
裁判を続けて判決が出た場合や、裁判の途中で和解した場合、どちらの場合でも貸金業者から過払金が返還されるには2か月~4か月程度を要します。
もし弁護士に依頼している場合、弁護士事務所の口座に振り込まれますので、そこから事務的な手続きを経て自分の口座に振り込まれることになります。
事務所によって事務手続きの違いがあるので期間は異なりますが、1週間から2週間程度かかることが多いようです。
まとめ
過払金請求にかかる期間は、相手となる貸金業者や、争点によって大幅に異なることがあるのですが、おおまかには以上のとおりです。
まとめるとこのようになります。
〇弁護士に過払金請求を依頼し、訴訟提起前の交渉で和解が成立した場合
和解成立まで | 3か月~6か月程度 |
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和解成立から過払金返還まで | 3か月~6か月程度 |
合計で6か月~12か月くらいはかかる可能性があります。
〇弁護士に過払金請求を依頼し、裁判になった場合
判決または和解成立まで | 6か月~12か月程度 |
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判決または和解成立から過払金返還まで | 2か月~4か月程度 |
裁判中に訴外で和解した場合には比較的早く解決することになりますが、合計で1年前後はかかるでしょう。
争点が多い場合などには裁判が長引く可能性もあります。
〇自分で対応する場合
自分で対応する場合には、弁護士に依頼するよりも長くなる可能性があると考えてよいでしょう。
貸金業者によっては、返還する金額を少なくする代わりに早く支払う、というような交渉をしてくる業者もいます。
納得いく金額・返済期日で和解することは問題ないのですが、弁護士などの専門家でない場合には不利な条件で和解をさせられてしまうこともあるので注意が必要です。
これらはあくまで一般的な目安となりますので、個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。