自己破産したら引っ越しできなくなるって本当?
自己破産をしたら、引っ越しをしたり海外旅行に行けなくなるという噂を目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
自己破産に関する噂などはインターネット上でも多く出回っていて、本当のこともあればそうでないこともあります。
自己破産しても引っ越しをすることはできるのですが、自己破産手続中には制限を受けます。
それはどういうことなのでしょうか?
この記事では、自己破産と引っ越しについて詳しく解説していきます。
自己破産手続中の制限とは?
自己破産手続中には、いくつかの制限を受けることがあります。
その中のひとつに、移動の制限があります。
居住地を離れる場合には裁判所の許可を得なければいけないという制限です。
破産手続中に転勤が決まり引っ越しをしなければならない場合や旅行など長期で自宅から離れる場合には、事前に裁判所に許可をもらう必要があります。
ただし、この制限はあくまで自己破産手続中の制限です。
破産手続開始決定が出てから免責許可決定が確定するまでの3か月~6か月程度の期間になることがほとんどです。
では、破産手続の流れに沿って確認しておきましょう。
1.自己破産申立前(申立ての準備期間)
自己破産の申立前に引っ越しをする場合には、自己破産を依頼した弁護士に相談しましょう。
引っ越し先によっては、申立てをする裁判所が変わる可能性があります。
また、申立てまでの間の打ち合わせなどに影響が出る可能性があります。
2.自己破産手続中(破産手続開始決定が出てから免責許可決定が確定するまで)
管財事件の場合、破産手続開始決定が出てから免責許可決定が確定するまでの3か月~6か月程度は居住地を長期間離れることが制限されることは先述のとおりです。
引っ越しをするには裁判所の許可が必要になります。
必ず自己破産を依頼した弁護士に相談しましょう。
もし許可を得ずに引っ越しをしてしまうと、その後の手続きに大きな影響を与える可能性があります。
3.自己破産手続終了(免責許可決定確定)後
免責許可が確定したあとは、引っ越しは自由にできます。
ただし、自己破産をしたことで信用情報に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ると言われる状態です。
家賃保証会社の利用が必要な物件に引っ越しをする場合には注意が必要です。
信販系の家賃保証会社の場合、審査のために信用情報を照会すると言われています。
事故情報が登録されている5年から10年程度は、信販系の家賃保証会社の審査には通らない可能性が高いでしょう。
信販系以外の家賃保証会社を利用できる物件や、親や兄弟など親族が保証人になれば契約できる物件を探すなどした方がよいかもしれません。
引っ越しの許可が下りないことはある?
引っ越しをするには裁判所の許可が必要ですが、転勤が決まった場合などやむを得ない場合には基本的には引っ越しは許可してもらえます。
まずは申立代理人である弁護士を通じて破産管財人の同意を得て、裁判所に許可を求めます。
破産手続きに支障が出るなどの理由がなければ引っ越しを許可してもらえることがほとんどですが、特に何も理由がないのに引っ越しをしたいという場合には、申立てを依頼した弁護士に事前に相談をした方がよいでしょう。
引っ越し以外の制限とは?
引っ越し以外にも自己破産手続中には以下のような制限を受けることがあります。
①旅行の制限
先述のとおり、居住地を離れてはいけないという点で、長期間の旅行なども引っ越しと同様裁判所の許可が必要になります。
②職業・資格の制限
自己破産をすると資格制限を受ける職業があります。
代表的な職業としては、警備員・生命保険募集人、また弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士などの士業です。
資格の制限があるためにどうしても自己破産をしたくないという場合には、自己破産以外の債務整理も検討してみましょう。
③郵便物
管財事件になった場合、破産開始決定が出ると郵便物はすべて破産管財人に転送されることになります。
転送された郵便物は、破産管財人が開封し中身を確認します。
④後見人・保佐人・補助人・遺言執行者
破産者は、後見人・保佐人・補助人・遺言執行者などになることができません。
まとめ
自己破産をしても引っ越しをすることは可能ですが、自己破産手続中の引っ越しには、裁判所の許可が必要になりますので注意が必要です。
管財事件か、同時廃止事件か、どちらの事件として取り扱われるかによっても制限を受ける期間などが異なりますので、個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。