飲食店を破産・廃業する際の注意点と手続きの流れを解説

新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、破産する飲食店が増加しています。

帝国データバンクによると、2020年2月から2021年8月3日までに新型コロナウイルスの影響で破産等の手続きで倒産した企業や法的整理の準備に入った企業は個人事業主を含めて1860社あったそうです。その中でも一番多かった業種は飲食でした。

この記事では、飲食店の破産について、注意点と手続きの流れを解説します。

飲食店の廃業・破産

新型コロナウイルス感染症の影響で、休業や時短要請、酒類の販売ができないなどで経営が厳しくなった飲食店は多いでしょう。飲食店の経営を続けられなくなった場合、廃業や倒産を検討せざるを得ません。

ここでは、飲食店の廃業と破産について解説します。

廃業

廃業は、単に事業をやめることを指します。

廃業する場合、まず現在行っている業務を終了させます。その上でやるべきことは次のとおりです。

  • 債務の弁済
  • 残余財産の分配
  • 各種役所へ手続き
  • 清算結了登記

債務の弁済

借入金、買掛金、従業員の給与、社会保険料、税金等すべての債務について、必要な支払いを行います。もし債務の弁済ができない場合には、廃業でなく後述する倒産手続きを選択しなければなりません

残余財産の分配

財産を処分し、債務の弁済も済ませた上でまだ財産が残っている場合には株主に分配します。

各種役所への手続き

飲食店であれば、営業を始める際に飲食店営業許可・深夜営業許可・風俗営業許可等の許認可を取得しているはずです。また、消防署の防火管理者の選任等も行っていますので、各種許認可等を申請した役所に廃業の手続きを行います。

清算結了登記

法人が廃業した場合には、清算結了登記を行います

破産

債務が残った場合には、倒産手続きをします。

倒産手続きには、破産だけでなく、再建を目指す民事再生手続きもあります。

会社の倒産手続きについて、詳しくはこちらをご参照ください。

会社・法人の「倒産」の意味とは?破産・廃業・経営破綻との違いも解説

会社・法人の倒産手続きとは?手続きの流れと3つのポイントを解説!

(当事務所会社法務サイトの記事に飛びます。)

 

ここでは、破産について解説します。

法人の場合

法人を設立し飲食店を経営していた場合は、法人破産手続を行います。

法人破産は、会社の財産をすべて処分し債務の弁済にあて、それでも弁済しきれなかった債務は会社とともに消滅します。

個人事業の場合

個人事業で飲食店を経営していた場合、個人の自己破産手続をします。

自己破産では、一定額以上の財産を処分し債務の弁済にあて、それでも弁済しきれなかった債務の支払義務は免除されます。ただし、法人と異なる点として、税金や社会保険料など一部の非免責債権については、支払義務は免除されないので注意が必要です。

また、同時廃止事件とはならず、管財事件として取り扱われます。

飲食店が破産する場合の注意点

ではここで、飲食店が破産する場合の注意点について解説します。

飲食店の債務

債務と聞くと、銀行等金融機関からの借入金を想像しますが、それだけではありません。飲食店の債務は次のようなものがあります。すべての債務を正確に把握する必要があります

  • 借入金
  • 買掛金
  • 什器や調理器具のリース代金
  • 未払の家賃
  • 営業車等のローン残高
  • 未払の従業員の給与
  • 未払の社会保険料

偏頗弁済(へんぱべんさい)

破産手続きは、すべての債権者を平等に扱わなければならないため、一部の債権者にのみ返済をすること(偏頗弁済)は許されていません

お世話になった仕入先にだけ買掛金を支払ったり、親族からの借入金だけ返済したりすると、破産できない可能性もあるので注意しましょう。

連帯保証人への影響

知人や親戚が借入等の連帯保証人になっている場合、主債務者である会社や事業主が破産をしても債務がなくなるわけではありません。破産した主債務者が返済を免除されても、連帯保証人の債務は免除されず、連帯保証人に請求がいきます。連帯保証人が返済できない場合には、連帯保証人も自己破産を検討しなければなりません。

連帯保証人への影響は避けられませんので注意が必要です。

代表者への影響

法人を設立して飲食店を経営していた場合でも、代表者が借入の連帯保証人になっていれば代表者が支払いをしなければなりません。中小企業が金融機関から借入をする際、代表者が連帯保証人になっていることがほとんどです。代表者が連帯保証人になっている場合には、自分の自己破産も検討する必要があります。

飲食店の破産手続きの流れ

ここでは、飲食店の破産手続きの流れを解説します。

法人と個人事業主では多少異なる場合がありますが、おおまかな流れは次のとおりです。

弁護士への相談

まずは弁護士に相談します。

破産以外の方法で債務整理できないか、破産した場合のメリット・デメリット等を弁護士からご案内します。

弁護士の方針や弁護士費用等に納得されたら契約を結びます。

支払いの催促がなくなる!受任通知の発送

債権者に対し、弁護士が受任することを知らせる通知を発送します。

受任通知受領後、債権者はその後支払いの催促等もできなくなり、すべての連絡は弁護士宛にしてもらうことになります。

ただし、受任通知を発送することでかえって混乱するような場合には、受任通知を発送せずに破産申立を行うこともあります。

飲食店の資産や債務の調査

飲食店の資産や債務の調査を行います。

債権者から届出のあった債権だけでなく、各種帳簿からも未払金などを調査します。

権利義務関係の調査

すべての契約書等を調査し、権利義務関係を把握し必要な手続きを行います。具体的には、什器や調理器具等をリース契約している場合のリース契約解除や、この次に挙げる従業員の解雇、テナントの明渡しなどです。

従業員の解雇

従業員がいる場合、従業員を解雇するのが一般的です。

テナントの明渡し

店舗等が賃貸の場合には、明渡しをしなければなりません。

材料等在庫が多く残っている場合、その保管や移動についても検討しなければなりません。

申立書作成・必要書類の収集

裁判所に提出する申立書作成の準備や、必要書類の収集を行います。

申立書作成は弁護士が行いますが、会社・事業主様からの情報提供などご協力が必要です。

必要書類は法人か個人か、財産や負債の状況等により異なりますが、主に以下の書類が必要です。

  • 登記事項証明書
  • 取締役会議事録または同意書
  • 直近2期分の貸借対照表及び損益計算書
  • 清算貸借対照表
  • 税金申告書控えの写し
  • 3か月以内に取得した不動産登記全部事項証明書
  • 賃貸借契約書の写し
  • 車検証・登録事項証明書の写し
  • 生命保険証書・解約返戻金計算書の写し
  • 訴訟関係資料の写し

裁判所に破産申立

申立書と必要書類がそろったら裁判所に破産申立を行います。

破産手続開始決定

申立書・添付書類等に不備がなく、要件を満たせば裁判所が破産手続開始決定を出します。同時に破産管財人が選任されます。

破産管財人との打ち合わせ

破産管財人と打ち合わせをします。破産管財人が行う調査には誠実に協力しなければなりません。打ち合わせには申立代理人である弁護士も同席するので安心してください。

債権者集会

裁判所が定めた日程で債権者集会が開かれます。

破産管財人が行った財産や負債の調査結果、財産の処分状況等を報告します。債権者に説明を行う目的がある債権者集会ですが、実際には債権者が出席することは少なく、出席するのは裁判官、破産管財人、破産申立人本人、申立代理人だけであることがほとんどです。

債権者への配当

破産管財人が財産を処分・換金し、債権者に配当します。

破産手続終結決定

配当が終わると手続きは終了です。

 

法人破産の場合に代表者個人も自己破産した場合や、個人事業主として飲食店を営んでいた場合の個人の自己破産では、免責審尋という手続きがあります。免責審尋は、債権者集会と同時に行われることが多いです。

免責不許可事由がない、またはあっても裁量免責制度により免責が認められれば、免責許可決定が出ます。免責許可決定の確定により、債務の返済義務は免除されます(非免責債権を除く)。

飲食店の破産で弁護士に依頼するメリット

飲食店の破産で弁護士に依頼するメリットは次のとおりです。

複雑な手続きをすべて任せられる

破産手続は大変複雑で、専門知識が不可欠です。手続きが失敗すると、債務が免除されない可能性もあります。

また、弁護士に手続きを任せられるので、本来の業務や残務処理に専念したり、次にやる事業の準備に取り掛かったりすることも可能です。

従業員や仕入先を含む債権者対応も任せられる

破産する際に、これまで一緒に働いていた従業員や仕入先に迷惑をかけるのでは?と心配される方もいるでしょう。弁護士に破産手続きを依頼すれば、債権者の対応もすべて弁護士が行いますので、安心して手続きを進められます。

少額管財事件の制度を利用できる

破産申立を弁護士に依頼すると、少額管財事件の制度を利用できる可能性があります。

破産手続は、同時廃止事件と管財事件の2つに分類されます。法人や個人事業主の破産では、管財事件になるのが原則です。

管財事件の中でも、通常の管財事件では、債権者数や債権額によって最低50万円からの予納金が必要です。しかし、少額管財事件として取り扱われれば、最低20万円からの予納金で手続きが可能です。

ただし、すべての裁判所に少額管財事件の制度があるわけではないこと、事案によっては通常管財事件になる可能性もあることに注意が必要です。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、経営が苦しくなっている飲食店は多くあります。破産すると債権者や連帯保証人に迷惑をかけることもあり、手続きを躊躇する経営者も少なくありません。しかし、手続きを先延ばしにするほど、事態が悪化することも多くあります。早めに決断して手続きをすることも重要です。

飲食店をたたむか悩んでいる場合には、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。

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