会社倒産・法人破産前に準備すべきことは何か?
会社の経営が悪化してきて、法人破産を選択肢に入れようと考えたとき、経営者は何をすればいいのでしょうか。倒産する前に準備すべきことはどういったことでしょうか。
この記事では法人破産をする前に経営者が準備すべきことについて解説していきます。
1 弁護士に相談する
まずは弁護士に相談しましょう。
法人破産の申立ては自分ですることも可能です。しかし手続きは非常に複雑ですし、破産法の規則に従い行わなければなりません。
また、債権者や従業員、裁判所や破産管財人の対応もすべて自分で行うことも大変です。
まだ少しでも会社の体力が残っているうちに、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
2 会社の債務や債権について把握する
会社の債務がどのくらいあるのか、債権はどのくらいあるのかを把握します。
法人破産をすると債権者は平等に扱わなければならず、ある債権者にだけ返済をすること(偏頗弁済 へんぱべんさい)は認められません。
借入をしている金融機関・未払いの買掛金などがある取引先・給与を支払うべき従業員もみな債権者です。お世話になった取引先にだけ支払いを続けるというようなことはもちろんできなくなります。
決算書や帳簿などから買掛金や未払金などを確認し、債務の全体を把握します。また、売掛金や貸付金など未回収のものがないか、会社所有の不動産や自動車・設備など会社の財産はどのくらいあるかについても確認しておきましょう。
会社の資産となるものは、破産管財人により処分(換金)され、債権者への配当の原資となります。在庫や機材、什器などの設備や材料もすべて配当の原資となりうるものです。
3 会社が締結している各種契約の確認
会社として締結している契約についてはすべて確認する必要がありますが、中でも早期に対応が必要になるのが事業所の賃貸借契約です。事業所が賃貸であれば明け渡す必要があります。
実際の契約書などを確認しながらすべての契約を確認し、破産申立てまでに契約を締結する予定があるかなど、必要があれば担当者などから聴取します。
4 従業員の解雇などの対応
各種契約の中で、賃貸借契約と同様早期に対応が必要になるのが従業員との雇用契約です。
従業員がいる場合には、従業員は解雇するのが一般的です。従業員を解雇する場合、いつどのタイミングで従業員を解雇するのかの判断も重要です。
事前に解雇を予告する場合のリスクや、即日解雇とし解雇予告手当を支払う場合に必要になる金額などを考慮し検討する必要があります。
従業員にとって、勤務先である会社の破産は大変にショックなことです。この先どうなるのかという不安も多くあるので、従業員に対する十分な説明が必要になります。
5 弁護士から各債権者へ受任通知の発送や申立て時期の検討
法人破産を弁護士に依頼したら、弁護士から各債権者に対し、受任通知を発送します。これは、債権者に対し破産する予定であることを伝えるものです。
また、受任通知発送後は、債権者からの問い合わせなどはすべて弁護士が窓口になるので、会社や代表者に連絡がくることはなくなります。
ただし、この通知の発送により、債権者からの問い合わせや従業員の対応などかえって混乱を招くこともあるため、受任通知の発送の時期は十分に検討する必要があります。
同様に、破産申立てをする時期も大変重要な検討事項です。破産をすることにより、多くの債権者に迷惑をかけることとなり、債権者である取引先などの経営状況も大きく変えてしまう可能性もあります。
どのタイミングで破産の申立てを行うかについては、十分に検討しましょう。
6 申立書や必要書類の準備
法人破産の申立ては、申立書や必要書類を裁判所に提出することで行います。
1~5の準備を終えたら、あるいは同時並行して、裁判所に提出する申立書や必要書類の準備に入ります。弁護士に依頼すれば、申立書は弁護士が作成しますが、作成に必要な事情の聞き取り、必要書類の収集などは代表者の協力が必要となります。
必要になる書類は会社の債務や債権、各種契約の状況により異なりますが、決算書・帳簿類・預金通帳・各種契約書・会社の財産となるものに関する書類などです。場合によっては会社の代表者印・銀行印・社判などを弁護士が預かるケースもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
法人破産をする場合には、このように多くの準備が必要となります。破産準備には、事業の内容や、債務の状況、各種契約の内容などによってどう対応すべきか異なってくることも多くあります。
個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。